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愚にもつかない話(柳田)

今年も花粉が飛んでいる。悩ましい。
が、鼻をくすぐるのは花粉だけではなく、道を歩いているとふと良い香りに気付くことがある。
沈丁花。この花が昔から何となく好きだ。秋の金木犀、春先の沈丁花は目よりも先に鼻が見つける。気付いて辺りを見回すとどこかの庭先に咲いている。
人間は普段は感覚のほとんどを視覚に任せているところが大きいと思う。ほとんどと言うのは言い過ぎか、ただ視覚に頼るところは大だ。
だが嗅覚に時折驚かされることがある。記憶との結びつきだ。何かの匂い、場所の匂いを嗅いで、無意識に何かの場面が甦ることがある。それは記憶しているとも意識していないような、思考や知識とは別の部分にある記憶とでも言うか、皮膚感覚のレベルでゾワリとするような感覚だ。場面が丸ごと甦ってゾワリとすることもあれば、感覚だけで具体的なことが思い出せずにもやもやすることもある。
まだ寒いが外の空気が春の匂いになってきた。木の芽立ちはあまり得意ではない。沈丁花の香りで私が何を思い出すかは、秘密だ。

柳田

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柳田祐希 2017/03/03 14:13

「ギルバート・グレイプ」という映画(蔵野)

昔大好きだった映画の1つに、「ギルバート・グレイプ」がある。
大学生時代に、繰り返し見ていた。
前回観たのは10年くらい前だったと思うが、
今回、久しぶりに観たくなって、DVDを近所のツタヤで借りて来た。

車の中でのキスシーン、ジュリエット・ルイスの可憐さ、セリフのひとつひとつ、いまでも鮮明に覚えていた。
久しぶりに見ても、美しい映画だと思った。

そして、昔と変わらぬ感動を感じた一方で、
昔とはほんの少し違った目線で、この映画について考えるところもあった。
僕は年を取って、多少現実的な目線で物事を考えるようになったのだと思う。

もしこの映画を今の年齢で初めて観たとしたら、あまり感動はしなかったのではないか、と思った。

昔にこの映画を観ることができて、本当に良かった。

蔵野

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蔵野春生 2017/02/28 22:37

出会うこと巡ること・・・その1(こころの部屋、こころのお宿) (佐藤)

前回まで「ぼんやり」というので書かせてもらった。
10年程前から生きていることは、出会うこと巡ることとぼんやり考えはじめる自分がいる。

この出会う巡るという題なら、湧き出てくるような「かたちびと」に会えると思いました。
嬉しいような嬉しくないような、時に矛盾を抱えてやって来てしまう「かたちびと」に、また、会いたいと思う。
生きるとは出会うこと巡ること。
わたしはどんな景色、人、もの、事を見ているのかあらためて思っている。

2016年、この神田絵画教室の縁で、エゾ鹿肉をいただいた。
冷凍された鹿肉の中に心臓の部位があった。片手にあまる部位、その大きさに感動した。北海道の背骨、日高や石狩大雪(だいせつ)を駆けて行った大地の主のような大鹿を想った。

30年程のことが想い出された。
Kおじさんが運転する車で、早朝5時に森町を出発した。
目的地は釧路。
森ー室蘭ー日高ー狩勝峠ー帯広ー釧路までの行程は夕方までかかった。

肉の焼ける匂いが北海道気分が部屋いっぱいに拡げる。
北海道の様々な道行きの景色と重なり出した。
食べきれない肉は冷凍室に入れた。
肉を取り出すごとに、久しく食べものが生命という戴きものだと感じさせてくれた。
自然手を合わせてしまう。
「いただきます」という声になった。
いつもより強いものになりました。

年が明けた2017年1月26日。
姉との電話のやりとりで「Kさん、Mさん亡くなったよ」、「あなたは何にも知らないでしょ」と知らされた。携帯電話をしばらくテーブルに置いた、携帯電話カバーの黒色がうらめしく思えた。

ああー(腹に力が入りません)、わたしのふるさとがまたひとつ無くなって行きました。
親しいひとたちが手の届かない遠くに行く。

お世話なった。
Kさんはもう何年もお会いしていないが、車が大好きでとてもお世話になった身近な男。
釧路まで車で連れて行ってくれた人。
Mさんは、わたしが帰省すれば必ずいつもにこにこ一言声をかけてくれる近所の幼なじみのお父さん。

何がどうしていいのかも分からないが、急がないでほしい。
どうかしばらくはわたしの中で留まっていてほしい。
いつも、わたしのこころの部屋、お宿はあけておきますので、留めてほしい。
神様どうかお願いします。お願いします。
冷凍室の隅にまだエゾ鹿の心臓がありました。
ありがとう。
有り難くいただきますから。

いつの頃から、うまく言葉にできないが見える見えない世界関係が陸続きのように感じている。
面白いと思う。
わたしの感情を介して、日常の出会うかたちに何が起こっているのだろうか?

佐藤

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佐藤比呂二 2017/01/31 23:04
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