駒ケ岳・・・北海道「駒ケ岳」(佐藤)
教室の生徒さんから授業中に3枚写真を見せていただいた。
ただ今制作中の絵の後に、描きたい駅プラットホームの人気の無い待合室の写真、車窓ごしからのものだった。
既にA4サイズに引き伸ばしている、小山さんはいつも自分で用意して来る。
制作中の模写の絵は大きさ3号。飾る場所まで決まっているらしい。
小山さんのモチーフは自分で取材した写真から動いている。
海外の写真もそうだし国内のものも自分の感覚感興を大事にしてフレームに収めている、荒木経惟氏の写真の素晴らしさも語ってくれる。
見る方のわたしもちょっぴりその佇まいに小山さんの目線に浸ることが出来て嬉しくなってしまう。
いい写真だと思う。
直ぐに分かった。
わたしの田舎だ。
森駅だ。
その時は尋常じゃないものを見せられた気がした。
わたしを強く止めた写真画像カメラショットを見るばかり。
駅プラットホームはわたし田舎町のもの。
わたしはさらに奥のしなびたところで生まれ育った。
3枚の写真はわたしの慣れ親しん
だ青灰色の世界と繋がる、本当にうまく言えなが・・・自分自身と繋がる世界があふれだす点景、まざまざと浮かぶ。
2011年11月16日の日付がある。
あらためて、小山さんが撮ったのは10年前大震災のあった年の11月。
わたしは山のスナップ写真に見入ってしまった。
そして、その後に間をおかずにわたしの方から小山さんに一枚の写真を、授業中のアトリエ教室で見せた。
わたしがいつも持ち歩いている黒カバーのA4サイズの私のビジネス手帳には40年前の写真が入っている。持ち歩いていると言っていいかも知れない写真を。
中学生の脇坂君がカメラを携えて冬の北海道をひとり旅をした。
写北海道の鈍行列車で周り動いた。
道北の廃線となる天北線も回ったいう。
昭和の終わり平成の始めだろうか。
彼が藝大に入って彼の住んでた所沢市下山口の彼のアパートに、彼の予備校の浪人仲間が集まった。
もう一人の先生と僕も呼ばれお邪魔した。
写真はその中の一枚だ。
有り難く譲ってくれた。
冬の北海道の鈍行列車から気ままに無人駅舎に降りて撮ったという。
次に来る列車は1〜2時間後か!
先ほどの小山さんの車窓からの写真と手帳から抜き出した脇坂君の40年前の白黒写真を早速、相照らしてみた。
丁度重なる。
生徒の小山さんは会社を退職されて神田絵画教室に来て4年目かな?
僕には今の時間の方がおぼつかないらしい。
それにしても小山さんと出会い今こうしてこの二枚の写真に想いをはせた
。出会いの不思議を思う。
わたしはここで生まれこの山を[駒ケ岳]を見て育った。
駒ケ岳駒ケ岳わたしにはこの山なら心が裸んぼになれる感じがしている。
心が満たされて行く感じもしている。
何処かに強く思い入れがあるのだろう思う。
そして、今回も巡りあう不思議を思う。
小山さんの笑顔も少し紅潮している。
小山さんから、あらためて翌週スナップ写真をご丁寧に有り難くいただいた。
感謝。
(佐藤比呂二)
小山さんが車窓から撮った駒ケ岳