立軌展(孫崎)
今年から立軌会という美術団体のメンバーとして
参加させていただくことになった。
他の美術団体と比べると40名強という
圧倒的に少ないメンバーで構成されているが、
粒ぞろいである。
そんな場所に縁あって肩を並べられることは大変光栄で、
それと同時に大きなプレッシャーでもある。
すでに夏前から出品制作に取り掛かり、
しかも今年はすぐあとに個展も控えていることもあって
夏休み返上で制作。
そして先日、その搬入で東京都美術館へ行ってきたところである。
会期はまだ少し先だが、この日は図録作成用の撮影のため
全員の作品が一足先に一堂に会した。
ある程度覚悟はしていたものの、それでも
自宅の狭い部屋で一人描いている時はそれなりに見えた作品が
並べられ広い空間にポツンと置かれると、なんと頼りないことか・・・。
撮影が進み、次々と他の作品を目の当たりにすると、
もう泣きたくなってくる。
作品制作を制作するにあたって、何が一番難しいか。
それは冷静に、客観的に、自作を見つめ
指摘する「眼」を持つことだと思う。
そしてその判断する「眼」も、
自分で鍛えていかなくてはいけない。
その時は完成した、と思っていても
時間が経ってから見てみると直したくなる。
描いては反省し、描いては反省し・・・
作品制作に終わりはない。
制作者にとって完全な完成など、
この世には存在しないのかも知れない。
レオナルド・ダ・ヴィンチは、
モナリザに生涯筆を入れ続けたと伝えられている。
それは研究をすればするほど、
過去の仕事の改善点が見えてきてしまうからだろう。
作品は制作者の成長と共にあるのであれば、
今はまだ立軌会の中でも末端にいる私が、
この中で今後どれだけ自分を鍛え上げていけるかが勝負である。
今回の展示は、そんな目で見ていただけたら、
恥ずかしながら救われる。
もちろん他の作家方の素晴らしい作品も
ぜひ見ていただきたいと思う。
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第69回立軌展
10月13日(木)~28日(金) ※17日(月)休館
9:30~17:30(最終日~14:30) ※入場は30分前まで
東京都美術館 1階第1展示室
や700円 大学生500円 高校生300円 中学生以下・70歳以上無料
「ゴッホとゴーギャン展」チケット持参の方は200円引き
立軌会サイト→http://ryukikai.jp/top.html
孫崎