映画を二本観た。
「野火」
「シロナガスクジラに捧げるバレエ」
学生の頃は単館映画も足しげく観に行ったものだが、一月の内に映画館に二本観に行くのは随分久しぶりだった。
「野火」は高校生の頃に大岡昇平の原作を読んで衝撃を受けた。衝撃の記憶は鮮明だが随分前に読んだ小説でもあり、細部まで覚えている自信はなかった。だが映画を観てまざまざとその衝撃が甦った。
小説の映像化で映像が優っていた経験はあまり無いのだが、この映画は観ている私に文章的な印象を思い出させるものだった。
物語についてはあえて触れない、
人間が人間であるが故に人間でなくなる、それでも人間であるという恐ろしさ。そこに自然は美しく存在し、残酷なまでに沈黙する。
そんなことを呆然とした頭で思い浮かべながら帰路についた。
あと、リリーフランキーさん演じる役の印象が(というかその役を演じるリリーフランキーさんが)、同じく武田泰淳の「ひかりごけ」に出てくる船長の印象を思い起こさせた。恐かった。
「シロナガスクジラに捧げるバレエ」はセリフは無く、チェロとピアノによる音楽のみの無声映画。
友人の縁があって観させてもらった。
ちょっと「蛍の墓」を思い出した。
二本の映画とも、物語は全く異なるが、人間の織り成す所業の周囲で大自然が圧倒的に美しいのが印象的だった。
人間の有り様には関係無くただ存在し、美しいと感じたり、癒されたり、或いは脅かされたり侵食するのは人間側で、自然は人間が何をしようと無関心にあり続ける。
少し前に描き上げた自分の作品に、海に関する言葉をタイトルとして付けた直後だったこともあり、そんなことが妙に気になった。
柳田
告知です。
銅版画のグループ展に参加します。
南青山のギャラリーストークスにて
2015年9月23日(水)~10月1日(木)
「Spiegelbild」
小さなギャラリーですが、25名の作家による版画の展示ですので色んな作品が観れるのではないかと思います。
自分はまだまだ銅版画を勉強段階なので、他の参加作家さんから刺激を受けられればと思います。
もう1つ、
銀座のあかね画廊にて
2015年9月28日(月)~10月4日(日)
「Exhibition by ZERO!」
に参加します。
こちらは、あかね画廊さんの50周年記念の企画展です。多数の作家さんが0号の作品を持ちよります。
どちらも小品2~3点での参加になると思います。お時間ございましたら、お立ち寄り下さい。
自分の告知の後になってしまって申し訳ないが、講師の佐藤先生が個展の最中である。
上野の櫻木画廊。
日暮里から谷中、根津神社の辺りは散歩するには気持ちの良い界隈だ。以前、あの辺りを高校時代の恩師達と歩いた。この界隈に関するうんちくを聞きながらぶらぶら散策したのが良い思い出だ。
夏の猛暑が鳴りを潜め、ふらふらと出歩くには良い気候になった。何とか時間を見つけて画廊を訪ねてみたいものだ。
柳田
教室のブログを書いて下さいと言われた。
何を書けばよいのやら、文章は苦手である。
制作のことや絵についていつも考えていることを文字にする。必要なことだと思うが、これが難しい。お天気の話でも始めてしまいそうだ。
とりあえず最近取り組んでいる銅版画について触れてみようかと思ったのだが、まだまだ試行錯誤の状態で、海のものとも山のものとも判断がつかない。
が、今まで自分の制作として本格的に取り組んだことがあまり無かったので新鮮で楽しい。絵筆で直接画面に描くのと違い銅版画は…、
とここで字数制限がきてしまったようなので(嘘だが)、続きはまたの機会に。
次はもう少し身のある話をしたいものだ。
(講師・柳田)