ぼんやり・・・その6 (またサイカチ)(佐藤)
戦前に撮られた映画「風の又三郎」の強い印象がありました。冒頭のウサギを飼っているシーンにはじまり、どれもこれもスクリーン空間に入って行ける心持ちでした。
わたしの場合、いまでも宮沢賢治の童話や詩・書簡などにおもいをめぐらす度に、戦前の映画映像の影響と空気感があると思います。
岩手県花巻の豊沢川の【さいかち淵】には樹齢数百年と言われるさいかちの巨樹が数本、北側の崖下に並び立ち、辺りいっぱいに枝を広げていたと言う。
もうありません。過去のお話です。現在の整地された場所に日がな1日【さいかち淵】、【まごい淵】に求めても、当時の気配はなかなか現れてはくれませんでした。風がわたる音や川の水の音に
身をまかせる次第。
さいかち『皀莢(そうきょう』。
山野、河原に自生し、茎・枝にトゲがある。高さ10メートル。葉は複葉、初夏に緑黄色の小花をつける。若芽は食用に、莢、豆果は薬用、古くは小袋等に入れて石鹸の代用にした。
丸の内線のお茶の水駅で降りる。地上に出る。JR御茶ノ水駅に向かう。駅から5分ちょっとでめざす【サイカチの樹】にあえる。
佐藤